みなさん、こんにちわ。
司法書士の柿沼です。
法務省が、全国の未登記建物について一斉調査を進める方針であることが報じられました。
背景には、所有者不明土地問題の解決や、不動産登記制度の適正化があります。
「建物は建っているけれど登記していない」というケースは、実は珍しくありません。
今回は、未登記建物とは何か、なぜ今調査が行われるのか、司法書士の立場から解説します。
未登記建物とは?
未登記建物とは、実際には建物が存在するにもかかわらず、建物表題登記がされていない建物をいいます。
例えば、
- 昔建てた住宅
- 増築した部分
- 相続した古い家屋
- 農業用倉庫や物置
などが未登記のままになっていることがあります。
土地には登記があるのに、建物だけ登記されていないというケースも少なくありません。
実務的には、融資を受けずに建物を建てた場合、
抵当権設定の登記が不要なため、建物の登記もしないまま、という流れも多いです。
なぜ法務省が一斉調査を行うのか?
近年、所有者不明土地問題が社会問題となっています。
建物が未登記だと、
- 所有者の把握が困難
- 災害復旧や公共事業の支障
- 相続手続の長期化
- 空き家対策の妨げ
といった問題が発生します。
そこで法務省は、自治体が保有する固定資産税情報なども活用しながら、未登記建物の把握を進める方向とされています。
未登記建物を放置するリスク
① 相続手続が複雑になる
建物が登記されていないと、
「誰の建物なのか」
を公的に証明できません。
そのため、相続人全員で所有関係を確認する必要があり、余計な手続や費用が発生することがあります。
② 売却がスムーズにできない
不動産を売却する際、多くの買主や金融機関は建物登記を前提としています。
未登記建物があると、
- 売買契約が延期になる
- 金融機関の融資が受けられない
- 登記手続が追加で必要になる
といったケースがあります。
③ 金融機関の担保にできない
住宅ローンなどでは、建物にも抵当権を設定することが一般的です。
未登記建物では抵当権設定ができないため、融資に支障をきたす可能性があります。
建物を新築したら登記は義務
建物を新築した場合には、建物表題登記を行う義務があります。
現在は義務化されており、正当な理由なく申請しない場合には過料の対象となる可能性があります。
「昔の建物だから大丈夫」と考えず、一度確認することをおすすめします。
未登記建物が見つかったらどうする?
未登記建物であっても、適切な手続を行えば登記することができます。
一般的には、
- 建物の現況を確認
- 必要書類を収集
- 建物表題登記を申請
- 必要に応じて所有権保存登記を行う
という流れになります。
建物表題登記は土地家屋調査士が、
所有権保存登記は司法書士が担当しますので、状況に応じて連携して手続きを進めます。
司法書士からのアドバイス
今回の法務省の調査は、所有者不明不動産対策をさらに進める大きな流れの一つです。
未登記建物は、
- 相続
- 売却
- 贈与
- 担保設定
など、あらゆる不動産取引で問題になる可能性があります。
「実家が未登記かもしれない」「古い倉庫が登記されていない」と気になる方は、
早めに専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
法務省による未登記建物の一斉調査は、不動産の所有関係を明確にし、所有者不明不動産を減らすための重要な取組です。
未登記建物は、普段は問題がなくても、相続や売却の際に大きな負担となることがあります。
早めに現状を確認し、必要な登記を済ませておくことで、将来のトラブルを防ぐことができます。

