6月17日、国会で成年後見制度や遺言制度を見直す、改正民法案が可決・成立しました。
これにより、遺言制度の見直しに係る改正のうち、押印の任意化等については公布の日から起算して1年を超えない範囲内において、また、システムの改修を要する保管証書遺言の創設等については公布の日から起算して3年を超えない範囲内において施行されます。
今回の法改正により、時代の流れにあった方法での遺言書作成も可能になります。
ニュース記事 https://www.jiji.com/jc/article?k=2026040300252&g=pol
引用:法務省HP
現行の課題
・特別方式の遺言(死亡危急時遺言や船舶遭難者遺言)は、デジタル化未対応で、証人の確保が困難。
・自筆証書遺言など公正証書遺言以外は、押印が要件のまま
→行政手続きや商慣行において押印不要の流れ
・単身高齢者など高齢者施設に入所している高齢者が高齢者施設へ遺贈する遺言書を作成するケースがある
→受遺者(高齢者施設)の従業員等は証人の欠格事由ではないので、高齢者施設の思いのままに遺言書を作成す ることができてしまうリスクもある
・自筆証書遺言は全文を本人が手書きすることが要件 →高齢な場合、本人の負担が大きい
・自筆証書遺言保管制度を利用するためには、本人が法務局へ行く必要がある →本人の足腰が悪い、法務局が遠方で自力で行くことが難しい場合、保管制度を利用できない可能性が高い
改正後のポイント
・死亡時危急時遺言でも新たな方式を追加
→パソコンなどで作成したデータを遺言とすることが可能になる
→遺言作成時に録音や録画することにより、証人1人以上の立ち合い(WEB会議の利用可)でも作成可能になる。
・船舶遭難者遺言でも新たな方式を追加
→作成場面に、大規模地震など「天災その他避けることのできない事変」が発生した場合を追加
①口頭で遺言する状況を録音・録画することにより、証人1人以上の立ち合い(WEB会議の利用可)でも作成可能な方式
②口頭で遺言する状況を録音・録画し、特定の者にメール等で送信することにより、証人の立ち合いを不要とする方式
・押印の任意化
→自筆証書遺言、秘密証書遺言、特別の方式の遺言における遺言者及び証人等の押印要件を廃止し、押印を任意とする。※訂正等の際の押印も任意に
・証人等の欠格事由の範囲の拡張
→受遺者のみならず、その被用者(受遺者が法人の場合には、その被用者及び役員)も欠格事由となる。
・遺言の内容が記録されたデータ等の保管を法務局に申請し、本人が遺言の全文を口述するなどして、法務局が遺言を保管する方式(保管証書遺言)の創設
①パソコンなどを用いた作成が可能に(署名の代わりに、電子署名が必要となる模様)
②オンラインによる保管申請が可能に
③WEB会議を利用した手続きが可能に(相当な理由がある場合)
※なりすましや強要を防止するため、法務局の遺言書保管官が本人確認を行い、遺言者は全文口述することを要件となっている(口述が難しい方は、通訳や自書)。
・自筆証書遺言保管制度における手続のデジタル化等
→オンラインによる保管申請、証明書の交付請求等が可能になったり、WEB会議を利用した各種手続きが可能になる。
オンライン化・デジタル化により便利になりますが、一方でデジタルに弱い高齢者や障害のある方が取り残されないように気を付けなければならないとも感じます。
もちろん、今まで通り、紙ベースで対人での作成もできるので、善し悪しはあれど、その人にあった方法で遺言書を作成できるようになることは、選択肢が増える点ではメリットも大きいと思います。
遺言書の作成やその方法について悩んでいる方は、司法書士事務所エンパシーへお気軽にご相談ください。
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