皆さん、こんにちわ。
司法書士の柿沼です。
政府が新法制定を検討
2026年6月、政府が法人の「実質的支配者(Beneficial Owner:BO)」の情報について、公的機関への届出を義務付ける新たな法制度の創設を検討しているとの報道がありました。
この制度は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策や経済安全保障の強化を目的とするもので、日本でも会社の実際の支配者を継続的に把握できる仕組みの整備が進められようとしています。
現時点では法案は成立しておらず、今後の国会審議を経て制度内容が固まる見込みです。
「実質的支配者」とは?
実質的支配者とは、法人を実際に支配している自然人のことをいいます。
一般的には、
- 議決権の25%超を直接又は間接に保有している人
- 実質的に法人の経営を支配している人
などが該当します。
会社の代表取締役と実質的支配者は必ずしも一致するとは限りません。
現在の制度との違い
現在でも、株式会社については法務局の「実質的支配者リスト制度」があります。
しかし、この制度は会社からの申出による任意制度であり、利用していない会社も少なくありません。
ただし、最近では銀行口座開設時に、金融機関より提出を求められることが増えてきており、
弊所でも、設立登記時に手配するようにしています。
新制度では、
- 法人自ら届出を行うこと
- 内容に変更があれば更新すること
- 国が継続的に情報を管理すること
などが検討されており、任意制度から義務制度へ大きく転換する可能性があります。
なぜ今、義務化なのか?
背景には国際的なマネーロンダリング対策があります。
犯罪組織や制裁対象者は、ペーパーカンパニーや複雑な出資構造を利用して資金を移動させるケースがあります。
そこで世界各国では、「本当に会社を支配している人物」を政府が把握できる制度が整備されています。
日本はG7の中でこの制度整備が十分ではないと指摘されており、国際基準への対応も今回の制度創設の大きな理由と考えられています。
中小企業への影響
多くの中小企業では、代表者と株主が同一人物であるケースが多く、大きな負担にならない可能性があります。
一方で、
- 株式が親族間で分散している会社
- 持株会社が存在するグループ企業
- 事業承継を進めている会社
- 種類株式を発行している会社
などでは、誰が実質的支配者に当たるのか慎重な確認が必要になるでしょう。
参照記事:読売新聞オンライン

