みなさん、こんにちわ。
司法書士の柿沼です。
成年後見の申立ての相談があると、
必ず伝えるのが成年後見人の報酬の目安です。
親族が後見人に就任できたらOKですが、後見人は家庭裁判所が選任するため、審判が下されるまでわからないからです。
そして、専門職後見人が選任された場合、その報酬はランニングコストとして(今のところ)生涯発生するものだからです。
最高裁「報酬に関する実情調査(令和7年)」が公表されました。
最高裁判所が公表した「報酬に関する実情調査(令和7年7月~12月)」によって、実際の運用傾向がかなり見えてきました。
今回は、この資料をもとに、
- 成年後見人の報酬相場
- 親族後見と専門職後見の違い
- 資産額による傾向
- 付加報酬の実情
について、実務目線でわかりやすく解説します。
参照資料:
最高裁判所「報酬に関する実情調査の集計結果について(令和7年)」
そもそも「後見人報酬」とは?
成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人など)は、家庭裁判所に申立てを行い、報酬付与の審判を受けることで報酬が決まります。
今回の調査では、令和7年7月~12月に終了した約10万件以上の事件を対象に、実際に認められた報酬額が集計されています。
専門職後見人の報酬は「20万円台」が中心
資料を見ると、司法書士・弁護士などの「親族以外」の成年後見人については、
- 流動資産100万円未満
- 流動資産100万~500万円
- 流動資産500万~1000万円
あたりの層では、年間報酬「20万円台」がかなり多いことが分かります。
つまり、
月額換算で約2万円前後
が、実務上の一つの目安といえそうです。
これは従来から言われてきた「基本報酬月2万円」という運用感覚とも整合しています。
資産額が増えると報酬も上がる傾向
一方で、本人の流動資産が増えると、30万円台・40万円台以上の割合も増加しています。
特に、
- 5000万円超
- 1億円超
の層になると、高額報酬の割合がかなり増えます。
これは単純に「お金が多いから」ではなく、
- 財産管理の難易度
- 金融機関対応
- 投資商品管理
- 相続対応
- 不動産処分
など、業務量が増えるためです。
親族後見人は「10万円未満」も多い
親族後見人については、専門職後見人とはかなり傾向が異なります。
付加報酬なしのケースでは、
「10万円未満」
の割合が非常に高くなっています。
つまり、
- 無報酬に近いケース
- ごく低額のケース
も実際にはかなり存在している、ということです。
親族後見では、
- 家族としての支援
- 財産規模が比較的小さい
- 専門的業務が少ない
という事情が影響していると思われます。
「付加報酬」で金額は変わる
資料では、
- 不動産売却
- 遺産分割
- 訴訟対応
- 特殊な財産整理
など、特別な業務を行った場合の「付加報酬」の有無も分析されています。
当然ながら、
付加報酬ありのケースでは、全体的に高額化
する傾向が明確に出ています。
実務的には、
- 自宅売却
- 空き家処分
- 相続手続
- 施設入所調整
などが絡むと、通常報酬だけでは終わらないことが多い印象です。
今回の調査で大きいのは「予測可能性」
今回の資料の一番重要なポイントは、
「後見人報酬がどの程度になるか」
について、以前より予測しやすくなったことです。
成年後見制度は、
- 費用が不透明
- ずっと報酬が発生する
- 途中でやめられない
という不安を持たれやすい制度です。
そのため、こうした統計データの公表は、利用者にとって非常に意味があります。

