「遺言トラブルセミナー」のほかに、
「遺産分割トラブルセミナー」もあります。
前半部分は,遺産分割についての講義を,
後半部分は,遺産分割トラブル事例を挙げて,
グループワークを行います。
遺産分割でトラブルになるということは,
遺言を作成したほうが良い事例と重なる部分があるため,
遺言トラブルセミナーの復習にもなる構成です。
グループワークの問題の中に,
「相続人が4人の場合,3人が賛成しており,1人が反対している遺産分割協議は有効でしょうか。」
というものがあります。
(1)全員の同意がないので無効
(2)過半数の賛成があるので有効
正解はどちらでしょうか?
正解は(1)です。
その場では,(2)という意見もあり,
当たり前のように
「遺産分割は全員の同意」
と学んできたけれども,
なんで過半数の賛成ではダメなのだろう?
とふと疑問に思いました。
民主主義国家を標榜し,
最大多数の最大幸福を是とするならば,
過半数有効説があっても不思議ではありません。
全員の同意が必要故,にっちもさっちもいかないよりは,
過半数で処理してしまえば,紛争自体は減るかもしれません。
たとえば,
父,母,長男,長女の家族構成で,
父が死亡した場合。
法定相続分は,
母 4分の2
長男 4分の1
長女 4分の1
3人中2人が賛成したら,遺産分割協議が有効となると仮定した場合,
長男と長女が結束したら,
50%の権利を有する母が負けてしまいます。
これはこれで,不公平なので,
法定相続分の過半数が賛成したら,遺産分割協議が有効となるとすると,
母は常に勝ち組に属します。
長男と長女は,
遺産の分配を有利に進めるためには,
母に優しくしなければなりません。
ひょっとしたら,
親孝行がブームになるかもしれません。
ちなみに,
みうらじゅん氏の
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話はそれましたが,
過半数有効説は,
2次相続でも揉めそうですが,
相続人が奇数の場合は,
争い自体は減るかもしれません。
大相続時代に突入し,
遺産争いが増加し,
家庭裁判所で処理できないほどの
調停申立てがあった場合,
こりゃかなわんと,
法改正により,
「遺産分割協議は,法定相続分の過半数でOK」
となり,紛争は減る?
かも…
そんなことを考えながら,家路に着いたのでした。
いろいろ考えましたが,結果,現状維持がいいですね…
円満相続とは,なんなのか,更なる追究が必要です。