終活の一環として、エンディングノートの作成や遺言書の作成、身の回りの整理などをしている方は多いかと思います。
老後を安心して過ごすための生前対策としては、一般的に下記のようなものがあります。
①遺言書・・・公証役場で作成する公正証書遺言と自筆証書遺言があります
②財産管理契約・・・下記参照
③見守り契約・・・任意後見が始まるまでのサポートを約束する契約
④任意後見契約・・・判断能力が不十分になった後に代理で身の回りの手続き等できるようにする契約
⑤死後事務委任契約・・・亡くなった後の葬儀など事務手続きをお願いする契約
終活の場合、多くは、自分の死後のための準備をすることに集中しがちですが、
亡くなるまでの間は準備しなくても大丈夫なのでしょうか。
例えば、自分が認知症になったりした場合、困ることはなんでしょうか。

財産管理(銀行の手続き等)、介護の手続き、日常生活の買い物、役場での公的書類の手続きなどなど…
認知症以外でも寝たきり状態や車椅子生活など、元気なうちは想像できないようなことで困る事が増えるかもしれません。
昔は家族が変わりに手続きをすることが簡単にできましたが、
今は本人の意思確認が必要となり、認知症など本人に判断能力がない場合は、成年後見人をたてる必要があります。
金融機関でも家族だからといって、本人の委任なしでは、定期預金を解約したりはできないのです。
認知症になってしまうと、本人から委任状をもらえず、お金が引き出せない、老人ホームの費用などが払えない、そのため家族が費用を負担するのも限界がきていて困っているというケースもよく目の当たりにします。
軽度も含めれば、高齢者の3人に1人が認知症になると言われる時代です。
そのような状況を回避するためには、認知症になる前に、つまり頭がしっかりしているうちに、
財産の一部を預かってもらい自分にかかる費用を支払ってもらう、という方法があります。
それが財産管理契約です。
メリットとしては、契約内容や開始時期を自由に決められることです。
しかしながら、あくまで当事者間の契約のため、法的拘束力は弱いというデメリットもあります。
必ずしも受任者が自分のために預けた財産をそのために使ってもらえるとは限らないということです。
また注意点としては、受任者の口座で管理する場合、受任者自身の取引とごちゃ混ぜにならないように、預り金口座として自身の取引とは分けて管理することです。
また、介護などを条件に生前に贈与する方法もありますが、負担付贈与の場合、金額によっては贈与税がかかることがほとんどですし、贈与者に譲渡所得税がかかる場合は、所得税等が課税されます。そして、財産管理契約同様に、贈与しても必ずしも受贈者がその義務を果たしてくれないというリスクもあります。
そのため、いずれにせよ、委任する相手との信頼関係がとても重要となってきます。
信頼できる身内がいない方、おひとりさまの方などは、司法書士など専門家に依頼した方が安心かもしれません。
終活全般や財産管理契約書の作成についてのご相談は、お気軽に司法書士事務所エンパシーへお問い合わせください。