皆様、こんにちは。
スタッフの髙橋です。
今年の司法書士試験は、7月3日(日曜)に実施されました。
受験生の皆様お疲れ様でした。
不動産登記の記述問題では、「配偶者居住権」に関する問題が出ました。
実務でもまだまだ浸透はしていないので、馴染みがあまりないかもしれません。
配偶者居住権とは…
夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者の居住権を保護するため、
令和2年4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。
所有権と居住権を分けて考えて、残された配偶者が建物の所有権を持たずとも、
一定の要件のもとで、無償で住み続けることが可能になりました。
<成立要件>
- 法律上の配偶者であること
- 配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に当時(亡くなったときに)居住していたこと
- 遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと
配偶者居住権は上記の要件を満たせば、権利として発生しますが、
第三者に対抗するためには登記をする必要があります。
また、存続期間や特約を定めることができます。
設定するもしないも自由ですが、配偶者がすぐに介護施設に入居予定だったり、
子どもの家に転居する予定があって、建物に長く住む予定が無ければ、
後々の手続きを考えると設定しない方が無難かと思います。
反対に、配偶者と子どもの仲があまり良くない場合や自宅以外に財産がない場合などは
設定しておくことをオススメします。
<配偶者居住権の設定登記>
権利者:配偶者
義務者:建物所有者
添付書類:
- 遺産分割協議書(または遺言書)
- 登記識別情報
- 固定資産評価証明書(または納税通知書)
- 配偶者の実印と印鑑証明書
登録免許税:不動産の価額の1000分の2
(計算した金額が1000円未満の場合は、1000円となります)
【注意事項】
- 配偶者居住権を設定できるのは建物のみ。土地には設定できない。
- 亡くなった人が建物を配偶者以外と共有所有していた場合は、配偶者居住権の対象とならない。
- 配偶者居住権を譲渡・相続はできない。
ちなみにですが、令和5年度司法書士試験からは受験申請書に添付する写真サイズが変更になるようです。