今まで数百件、相続登記に関わってきましたが、
今回はじめて、旧樺太に本籍地があった方の相続の仕事をしました。
旧樺太は、日露戦争後ポーツマス条約により日本領になっていました(樺太の南半分)。
しかし戦後は、皆さんご存知のとおり、ロシア連邦が支配しています。
そのため日本の行政権は停止しています。
この場合、戸籍はどこに請求したらよいのでしょう…???
似たような例で、満州国に住んでいた方のケースがありますが、
こちらは本籍地を日本に残したまま満州国に渡っているため、日本の市区町村役場にて戸籍謄本を取得することができます。
また、戦争で戸籍が焼失した場合でも、該当する市区町村役場で、戸籍謄本が残っていない旨の証明書が発行してもらえます。
(保存期間によっては取得できない場合もあります)
戸籍を届け出ている限り、大抵の場合はこのように本籍地(戸籍)を追いかけることができるのです。
しかし、
旧樺太に住んでいた方の場合は、
本籍地を本土から旧樺太に転籍してしまっているのと、
戦乱でほとんどの戸籍簿が滅失しています。
つまり、、、戸籍を請求できる行政機関が存在しないのです!!(◎_◎;)
そして、戸籍謄本が残っていない旨の証明書も取得できません。
したがって、本籍地(戸籍)の繋がりが、ぽっかり空いてしまうことになります。
調べてみると、旧樺太から持ち出した戸籍謄本が一部あるようですが、
外務省であくまで資料として保管しているだけのようです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/gaichi/kosekisyoumei.html
そのため、
相続手続きでは亡くなった方の出生~死亡まで全ての戸籍謄本をそろえる必要がありますが、
旧樺太に本籍地があった場合は、
上記外務省で発行してもらえるもの以外証明する資料が何もありません。
実務としては、
相続人全員で「ほかに相続人がいないことの証明」を遺産分割協議書等で行う必要があります。
ちなみに…北方領土はどうでしょう?
こちらも領土問題で揺れ動いている場所ですが、
北方領土の場合は戸籍謄本の一部を釧路地方法務局根室支局で保管しているため、戸籍の請求をすることができます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/kushiro/static/kouhuseikyuusyohtmljtd.htm