突然ですが、
「遺留分」というのをご存知でしょうか。
民法1028条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一
「遺留分」とは、
簡単に言うと、
配偶者、子、父母(祖父母も含む)が相続人の場合、
遺産のうちの一定割合は、
相続できますよ、
という権利です。
私は、
相続が揉める原因の一つに、
この「遺留分」があるのではないか、
と考えていました。
民法の原則として、
私的自治の原則、
すなわち、
個人の自由な意思に基づいて私法上の法律関係を形成できる
自分のものは、自分で好きにできる
= 誰かにあげても良いし、捨てても良いし、寄付しても良い
というものがあります。
この私的自治の原則に反して、
民法でその処分を強制的に禁止しているのが「遺留分」ということになります。
その趣旨は、
遺族の生活の保障です。
この趣旨と同様のものでは、
他に、退職前の死亡退職金があります。
つまり、
「俺の金なんだから、好きなようにしてよいだろ!」
と
「そうは言ってもお父さん。あなたの家族(又は家族の誰か)が困るでしょ!」
のジレンマが紛争の原因ということです。
「遺留分」という制度が日本にある以上、
紛争の原因になるので、
遺留分を考慮しない遺言書
は、「遺言の呼吸 伍の型 水清無魚」
では、
「遺留分」のない国では、
争いがないのでしょうか。
「相続税」がない国があるように、
「遺留分」がない国もあります。
たとえば、
アメリカです。
アメリカでは、
州により配偶者の保護制度などはあるものの、
基本的に日本なような「遺留分」という考え方はなく、
遺言書通りに遺産相続が実行されます。
引用
「世間を騒がせた相続トラブルの真相」
著/弁護士田中庄司・弁護士竹中恵
では、
アメリカでは、相続時に紛争がないかというと、
「あの人が私に財産を残さないわけがない。
この遺言書は○○によって改ざんされたのだ。」
と言って、訴訟が繰り広げられているそうです。
結局、
制度の問題ではなく、人の問題なのだな、と考えを改めるに至りました。
人の問題だからこそ、
より想いを伝えることが大事ということです。
浜の真砂は尽きるとも、
世の争族の種は尽きまじ・・・
by 石川五右衛門
なんて言われないようにしたいですね。