相続登記~被相続人の住所が登記上の住所と異なる場合どうする?~

不動産の相続登記をする際、登記上の所有者が、被相続人と同一であることを証明する必要があります。

通常の証明方法としては、下記の書類で、住所と氏名が一致していることを確認できます。

・住民票の除票(本籍地記載のもの

・戸籍の附票(本籍地において、住所の移転の履歴が記載される)

 

しかし、被相続人が不動産を取得した時期が古い場合(前の前の住所)や転居が多い場合などで登記上の住所を変更していない場合など、被相続人の最後の住所と登記上の住所が一致しないというケースがあります。

※令和8年4月1日からは、所有者の住所移転の登記は義務化されるので、こういった齟齬は少なくなると思いますが。

相続登記等の義務化の詳細については、こちらをご参照ください。

 

そういったケースでは、

・不動産の権利証(登記済証、登記識別情報)で証明するか、

・不在籍不在住の証明書を取得するか(登記上の住所に同じ住所氏名の者がいない証明をして、消極的に被相続人と同一であることを証明したことになる)、

・相続人全員で登記上の所有者と被相続人が同一であることを確認した旨の上申書や遺産分割協議書を作成する

必要がありました。

とはいえ、当時の不動産の権利証を紛失していたりすることが多く、不在籍不在住証明書を取得したり、上申書を作成することが多いような気がします。

 

相続登記の義務化への流れもあると思いますが、こういった被相続人の同一性を証明できないケースについての負担を軽減する法務省の通達が令和5年に出ました。

 

被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(通知)(令和5年12月18日法務省民二第1620号)

 

この通知により、相続登記の際に、被相続人の同一性を証明するために下記書類を法務局に提供する場合において、

・被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

・固定資産税の納税証明書(または固定資産評価証明書)

・不在籍不在住証明書

以下3点の要件を満たす場合は、上記上申書が不要となります!

 

①登記簿謄本上と納税証明書(または固定資産評価証明書)の不動産の表示及び被相続人の氏名が一致している【所有者=納税義務者】【物件の一致】

②納税証明書(または固定資産評価証明書)と住民票の除票(または戸籍の附票)に記載された被相続人の住所氏名が一致している【納税義務者=住民票上の被相続人】

③住民票の除票(または戸籍の附票)と戸籍・除籍・改製原戸籍等の戸籍謄本に記載された被相続人の本籍地と氏名が一致している【住民票上の被相続人=本籍地上の被相続人】

 

また、公正証書遺言による相続登記申請において、被相続人の同一性を証明する書類として、納税証明書(または固定資産評価証明書)を法務局に提供する場合も、以下3点の要件を満たせば上記上申書は不要となります。

①登記簿謄本上と納税証明書(または固定資産評価証明書)の不動産の表示及び被相続人の氏名が一致している【所有者=納税義務者】【物件の一致】

②納税証明書(または固定資産評価証明書)と遺言公正証書に記載された遺言者の住所氏名が一致している【納税義務者=遺言者】

③遺言公正証書に記載された遺言者と相続人の氏名・生年月日が戸籍謄本に記載された被相続人の氏名・生年月日が一致している【遺言者=被相続人】

 

法務局がより柔軟な対応をしてくれるようになったおかげで、相続登記の促進にも繋がるのでしょうか…?!

いずれにせよ、住民票を移しましたら、不動産の住所の移転登記もお忘れなきよう!

 

相続登記や不動産登記でお困りの際は、司法書士事務所エンパシーへお気軽にご相談ください。

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