皆さん、こんにちわ。
司法書士の柿沼です。
FNNプライムオンラインにて、下記ニュースが掲載されていました。
自社の株を不正に取得したとして、ウェブサイト運営会社の元代表ら3人が、東京地検特捜部に在宅起訴された。
■ 事例の概要
名古屋証券取引所に上場していたウェブサイト運営会社の元役員らが、会社法で義務付けられている取締役会の決議を経ずに、会社資金で自社株を取得していた疑いが持たれている。
具体的な行為:
- 期間:2021年~2022年頃
- 内容:取締役会の決議なしに、個人株主から市場価格の約2~3倍の価格で自己株式を取得
- 取得総額:約8億円
元役員らは、個人株主から高値での買い取りを求められ、経営の安定を図るためと説明しているとのこと。
■ 法的問題点
会社法では、公開会社の自己株式の取得に関して以下の手続きを義務付けています:
- 取締役会の決議:自己株式を取得する際には、取締役会での正式な決議が必要
- 取得条件の適正性:市場価格に比べ著しく高い価格での取得は、株主間の公平性を損なう可能性有
本ケースでは、取締役会の決議を経ずに自己株式を取得しており、これは会社法違反(自己株式取得罪)に該当する可能性があります。
こちらのケースは、上場企業ですが、
日ごろ、中小企業の登記や法務の依頼を受ける司法書士は、
代表取締役に言われてその通りに書類を作成するのではなく、
会社法等のルールに則っているか、
権限のある機関にて決定されているか、
財源規制に抵触していないか等、
いろいろな事実を精査し、適正に手続が行われているか確認した上で、業務を受託し、書類作成や登記申請を行う必要を改めて感じました。
あまり目立たないですが、
簡単に書面を起こせてしまえる中小企業だからこそ、
司法書士の目が光っており、
健全な登記制度が維持されている側面があり、その一部を担っている自覚を再度あらたにしました。