みなさん、こんにちは。
司法書士の柿沼です。
国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課より、
令和7年2月に「不動産の引取サービスについて」という情報がリリースされました。
相続の現場にいる司法書士としては、
田舎の山林や田畑、不要な土地の相続について、それだけ相続放棄できないのか等のご相談が絶えません。
相続土地国庫帰属制度ができましたが、それもうまく活用できない場合、どうしたらよいのかという問題が少なからずあります。
そんな流れの中、不動産(負動産)を、売主がお金(管理料相当)を払うことで引き取ってくれる不動産業者のサービスが目立つようになりました。
そのサービスについて、国土交通省から警鐘があったという見方ができるかと思います。
民間業者による不動産(負動産)引き取りサービスには、いくつかの問題点が考えられます。
以下に主なリスクや課題を挙げます。
1. 買い取り価格の不透明性・安価な買い取り
- 業者によっては、市場価格とかけ離れた低価格で買い取るケースがある。
- 価格の算定基準が不明確で、売主にとって適正価格なのか判断が難しい。
2. 売却後のトラブル(契約内容の不明確さ)
- 売却後に「管理費の未払い」「固定資産税の負担」などのトラブルが発生する可能性。
- 所有権移転登記が適切に行われない場合、引き渡したはずの不動産が売主の名義のままとなり、責任を問われる。
3. 業者の信頼性の問題
- 悪質業者の存在。たとえば、「無料で引き取る」と宣伝しながら、後で高額な手数料を請求するケース。
- 事業者が倒産した場合、所有権移転が完了しないリスク。
4. 違法・脱法的な転売の可能性
- 引き取った不動産を適切に管理せず、廃墟やゴミ投棄の場となる危険。
- 不正な契約で転売されることにより、元の所有者に法的な問題が生じる可能性。
5. 社会的責任・倫理面の問題
- 空き家や管理困難な土地を安価で買い取り、そのまま放置する。
- 結果的に地域社会に負の影響を与える可能性(治安悪化、景観の悪化など)。
とはいえ、いらない不動産を手放したいとの当事者のお気持ちもすごくわかるため、
この問題はまだまだ解決策先が見えていないですね。