令和6年5月17日、離婚後の親権について改正民法が国会で成立しました。
父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直されました。
親権のあり方についての見直しは、77年ぶりとなります。
改正民法は2026年までに施行予定です。
参照:日本経済新聞
1 親の責務等に関する規律の新設
- 婚姻関係の有無にかかわらず父母が子に対して負う責務を明確化(民817条の12)
- 親権が子の利益のために行使されなければならないものであることの明確化(民818条)
2 親権・監護等に関する規律の見直し
- 離婚後の親権者について(民819条ほか)
・協議離婚→父母双方 または 一方 を親権者と指定できる。
・協議不成立→裁判所は子の利益の観点から、父母双方または一方を親権者と指定する。
※父母双方を親権者とすることで、子の利益を害する場合は単独親権としなければならない。
(例)虐待やDV(精神的暴力も)のおそれがあるケース、その他親権の共同行使が困難なケース
- 婚姻中を含めた親権行使に関して(民法824条の2ほか)
・父母双方が親権者→共同行使することとしつつ、親権の単独行使が可能な場合を明確化
〇子の利益のために急迫の事情があるとき(DV・虐待からの避難、医療行為など)
〇監護及び教育に関する日常の行為(子の身の周りの世話など)
・父母の意見対立を調整するための裁判手続を新設
- 監護の分掌に関する規律や、監護者の権利義務に関する規律を整備(民法766条、824条の3ほか)
3 養育費の履行確保に向けた見直し
- 養育費債権に優先権(先取特権)を付与←債務名義がなくても差押え可能に(民306条、308条の2ほか)
- 法定養育費制度を導入→取決めがなくても養育費請求が可能に(民766条の3ほか)
- 執行手続きの負担軽減(ワンストップ化)など
4 安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
- 審判・調停前などの親子交流の試行的実施
- 婚姻中別居の場面における親子交流(民817条の13ほか)
- 父母以外の親族(祖父母等)と子との交流(民766条の2ほか)
5 その他見直し
- 養子縁組後の親権者に関する規律の明確化、養子縁組の代諾等に関する規律を整備
(民797条、818条ほか)
- 財産分与の請求期間を2年から5年に伸長、考慮要素を明確化(民768条)
(婚姻中の財産取得・維持に対する寄与の割合を原則2分の1ずつに)
- 夫婦間契約の取消権、裁判離婚の原因等の見直し(民754条、770条)
引用:法務省HP
そもそも離婚するほど関係が悪化している父と母が、子のためにとはいえ、
協力して話を進められるか、といった疑問があります。
共同親権になることで、親の板挟みに子がならないように気を付けなければいけないでしょうし、
そういったすんなりいかないケースについて裁判所の今後の判断対応を見ていく必要がありそうです。
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