今年度は、相続登記の義務化以外にも、不動産の登記関連について、法改正がなされています。
民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)、不動産登記令等の一部を改正する政令(令和5年政令第297号)及び不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号)により、令和6年4月1日から、所有権に関する不動産登記の申請に関して、下記のとおり変更があるので注意が必要です。
1 法人を所有権の登記名義人とする登記申請について
法人を所有権の登記名義人とする登記申請の際、以下の法人識別事項を申請情報として提供する必要があります。
①会社法人等番号を有する法人→会社法人等番号
②会社法人等番号を有しない法人→設立準拠法国
③会社法人等番号を有しない①②以外の法人→設立根拠法
※法人識別事項の登記がされていないときは、名称・住所変更の登記を申請する場合も上記の申請情報・添付情報が必要。
※②③の法人については、添付情報として、法人識別事項を証する情報を提供する必要があり。
②→設立準拠法国政府の作成に係る住所を証する書面又はその写し等
③→当該法人の名称、住所及び設立根拠法を明らかにする公務員が職務上作成した情報
2 海外居住者(自然人・法人)を所有権の登記名義人とする登記申請について
海外居住者(自然人・法人)を所有権の登記名義人とする登記申請の際、国内における連絡先となる者の氏名・住所等の国内連絡先事項を申請情報として提供する必要があります。
(国内連絡先となる者がいない場合は、その旨)
また、添付情報として、国内連絡先事項を証する情報、国内連絡先となる者の承諾情報及びその者の印鑑証明書(又は電子署名及び電子証明書)を提供する必要があります。
※国内連絡先事項の登記がされていないときは、海外住所への変更の登記を申請する場合も上記の申請情報・添付情報が必要。
国内連絡先となる者の住所の場合は、国内連絡先事項を証する情報について、印鑑証明書が兼ねることが可能。
営業所等を国内連絡先事項とする場合は、営業所等の所在地及び名称が記録されたHPの内容を印刷したもの等に、相違ない旨の記載と当該国内連絡先となる者の署名又は記名押印された書類でも可。
国内連絡先となる者がいない場合は、上申書を提出する。
【国内連絡先となる者が自然人の場合】
①住所(住民票上の住所)②氏名
①国内の営業所等(個人の事務所等)の所在地②営業所等の名称③氏名
【国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人の場合】
①国内の本店住所②名称(商号)③会社法人等番号
①国内の営業所等(支店等)の所在地②営業所等の名称③名称(商号)④会社法人等番号
【国内連絡先となる者が会社法人等番号を有しない外国法人の場合】
①国内の営業所等(日本における営業所等)の所在地②営業所等の名称③名称(商号)
【国内連絡先となる者が会社法人等番号を有しない国内法人の場合】
①住所(主たる事務所)②名称
①国内の営業所等(従たる事務所等)の所在地②営業所等の名称③名称
3 外国人を所有権の登記名義人とする登記申請について
外国人を所有権の登記名義人とする登記申請の際、ローマ字氏名(アルファベット表記)を申請情報として提供する必要があります。また、添付情報として、ローマ字氏名を証する情報を提供する必要があります。
ただし、代位による登記申請など例外としてローマ字氏名を提供しなくてよい場合もあり。
【登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されている外国人の場合】
・住民票の写し(ローマ字氏名が記載されているもの)
【登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人でパスポートを所持している場合】
・ローマ字氏名が表記された旅券の写し(登記申請日時点で有効なもの、ローマ字氏名・有効期間・写真の表示のページを含む)
※原本に相違ない旨の記載と登記名義人となる者等の署名又は記名押印する必要あり
【登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人でパスポートを所持していない場合】
・上記についての上申書(当該者の署名又は記名押印がされたもの)
4 補足
・海外に住所がある法人(外国法人)を所有権の登記名義人とする登記申請について
上記1及び2のいずれもが適用される。
・海外に住所がある外国人を所有権の登記名義人とする登記申請について
上記2及び3のいずれもが適用される。
引用:法務省HP
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