推定相続人の廃除

こんにちは。

司法書士の柿沼です。

 

「推定相続人の廃除」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

司法書士試験の勉強にはよく出てくるのですが、私が実務を15年以上していて、お目にかかったのは1回です。

廃除の審判が確定すると、その旨が戸籍に記載されます。

その戸籍を一度目にしたことがあります。

 

民法の条文はこちら。

(推定相続人の廃除)                                      第892条                                           遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

上記条文は、生前に被相続人が家庭裁判所に対して行うものです。

この廃除、実は遺言でも行うことが可能です。

 

(遺言による推定相続人の廃除)                                第893条                                             被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

 

先日、遺言において推定相続人の廃除の意思表示をしている事例に出くわしました。

遺言で廃除をするということの意味は、

廃除したい相続人には財産を相続させないことに加えて、

遺留分の権利も認めたくない、ということです。

 

そして、廃除が認められるかどうかという点については、認められることかなり難しいです。

 

廃除の要件として、下記の通り条文で定めています。

被相続人に対して虐待をし、

若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき

又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき

 

まずもって、とても抽象的な表現で、要件を満たしているかどうかの判断がとても難しい、

その上、その当事者である遺言者は既に死亡している、

わかっていることは廃除の意思表示中に示されている遺言者の陳述文だけであり、

事実がどうかがそれをもって確認できない、

という理由で廃除はなかなか認められにくい、とは弁護士の先生。

 

加えて、当該推定相続人は家庭裁判所にて申し開きの機会が与えられ、

そこでも、事実として確認できない当事者間のやり取りが話に出てくるとなると、

家庭裁判所としては、判断できない(廃除の審判をくだすことはできない)ことが多いでしょう。

 

実際に廃除が認められて事例、認められなかった事例について、

こちらのサイトにわかりやすく記載されているのでご紹介いたします。


いずれにせよ、ここまでに至る事情や経緯は必ずあるでしょうし、まずは専門家に相談されることをお勧めいたします。

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