約1年の期間を費やし、ようやく登記申請までこぎつけることができた案件をご紹介します。
被相続人は、自筆証書遺言を遺されていたのですが、
その記載が不十分であり、
相続人全員の協力が必要なケースでした。
しかし、被相続人には10人以上の相続人がおり、
そのうち数名の協力を得るのは難しい、という案件でした。
裁判をしなければ、遺言書の内容を実現できない、
司法書士の出る幕はない、というのが先輩司法書士の大方の意見でした。
しかし、裁判をする費用と時間の負担を考えると得策とは言えず、
万策尽きたか、
と諦めることなく、
民法相続編を一から読みなおしたところ、
良いアイデアを閃くことができました。
弁護士と連携して、
思い描いた絵図のとおり、
裁判によることなく一連の手続きを進めることができました。
しかし、これを機に、
「遺言を遺しましょう」だけではなく、
「遺言は必ず専門家に相談しましょう。」とお話させて頂いてます。
なぜなら、遺言書を作成することが目的ではなく、
その遺言書に基づいて、渡したい人に財産を渡すことが目的だからです。
法律的には財産が移転することと、
実際にその移転の手続きを行うことは、
別モノだと考えておいても、考えすぎではないでしょう。
特に、遺産に不動産がある場合には、登記の手続きのプロである司法書士の出番です。
今回の件も、
自筆証書遺言がきちんとしたものであれば、
実際にかかった費用の2割で済んだことでしょう。
(裁判をした場合には、実際にかかった費用の3倍以上はかかるでしょう)