【想いを残す】 ~相続のかたち~

皆さんは「相続」というと、何を思い浮かべますか?

 

一般的には、

自然人の財産などの様々な権利、義務を他の自然人が包括的に承継すること

ですが、

こんな「相続」もあるんだなぁ・・と考えされられたお話をお聞きしました

 

その人は70代の男性で、善行寺やリンゴの産地としても有名で、日本アルプスの山々が広がる長野県の貧しい農家で生まれ育ちました。

3人兄弟の二男で、幼いころから身体が弱く母親には特に甘えていたと言います。

 

そんなお母さまが亡くなった時のこと。

兄弟で形見分けをしたそうですが、その人がどうしても欲しかったものが出てこなかったそうです。

 

それは、「お母さんの日記帳」でした。

 

きっとその人は、背中を丸めて日記を書いていたお母さまを記憶していたのでしょう。

 

お母さまの死後、かなりたってから大切な日記帳を手にすることができたそうですが、どうやら同居していた義姉が、お母さまの何冊もの日記帳を持っていたらしい、と少し悲しそうな顔をしていました。

昔々の事で、農家の長男のお嫁さんだったお姉さまには、様々な思いがあったのかもしれないと想像します。

 

その日記帳には、いったい何が書かれていたのでしょう。

 

「今日の味噌汁は旨かった」

「煮物がよく味が染みていた」

「ようやく春めいてきた」

 

そんな他愛のない言葉が一行だけ、毎日毎日綴られていたそうです。

 

亡くなった人が何を思って日々を生きていたのか、どういう生き方をしてきたのかを知ることで、

残された人が、その人の人生を想い偲び、自分の人生を振り返ったりする。

そんなことも一つの「相続」ではないか・・と自分事として考えさせられたお話でした。

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