司法書士の柿沼です。
いよいよコロナウィルスを身近に感じるようになってきました。
3月上旬にまだ若い奥様に相続が発生し、
その手続きの依頼を受けました。
その方の死因は「肺炎」です。
3月初めに体調を悪くしたが、新型コロナウィルスの影響で、
病院に行くほうがリスクがあると家族会議で判断し、
しばらく自宅で療養していました。
今となれば、この判断がいけなかったのかもしれない、ともおっしゃっていました。
一向に改善されず、更に体調が悪くなったため、
近所の病院に診察にいきました。
そこで、検査が必要であるとの診断があり、
そのまま大きな病院へ入院することが決まりました。
「救急車に乗るのは初めてだね」とたわいのない会話をしたことが忘れられないとおっしゃっていました。
病院への入院が決まり、
「家から〇〇と〇〇を持ってくるね。」
「ゴミ出しの日は〇曜日と〇曜日だから。」という会話が最後の会話になりました。
検査の結果、
コロナウィルスは陰性だったため、
霊安室で安置することができ、
自宅に連れて帰り、いつも寝ていた布団に寝かせることができた、
家族や親しい方と自宅でゆっくりお別れができたことは本当によかったと話してくださいました。
これが陽性だった場合、
袋に入れられ隔離され、国のしていの火葬場で火葬され、
次に会うときはお骨の状態であるという説明を受けたと教えてくれました。
故人との最後のお別れもゆっくりできないという現実を、ここで初めて実感しました。
この方は、数年前にお父様の相続を経験し、
そのときに相続診断士と一緒に私もサポートさせて頂きました。
その時の経験から、
お互いにキャッシュカードの暗証番号や携帯電話のパスワードを教えあったり、
延命措置について話し合いができていたので、
今回いろいろと悩まずに済んだともおっしゃってました。
それでも、
小さいものから大きいものまで相続手続はタスクが膨大であり、
押しつぶされそうになる、と不安を口にされていました。
「そんな時のために、我々がいるのですよ。すぐにやらなければならないこと、ゆっくりでもよいこと、第三者に頼めること、自分でやったほうがよいこと等こちらで整理しますので、焦らず進めていきましょう。」
とお伝えさせて頂きました。
相続診断士のアドバイスのもと、
「自分の遺言書を毎年見直します」ともおっしゃってくださいました。
こういう状況だからこそ、
それぞれがやるべきことをやるだけだと思っています。