皆さん,こんにちわ。
司法書士の柿沼です。
「男気」のある男性はいつの時代でもモテますよね~。
そんな「男気」が招いた?事案をご紹介します。
平成17年11月14日 東京簡易裁判所 平成17年(ハ)第3036号 飲食代金請求
原告が経営する飲食店Aでツケで飲食を共にしたX及びYに対し,
原告が飲食代金を請求したところ,
被告Yが本件飲食は被告Xに接待されたものであるので支払義務はないとして争った事案。
想像するに,
Xは,Yを飲食店Aに連れて行き,
「今日は,俺(X )の奢りだから,好きなだけ飲めや~。」と豪語したが,
飲食代はツケにして,その後も支払わなかった。
その飲食代金請求訴訟を原告から提起されたYは,
「Xが奢るって言いましたやん。」と主張している。
【結論】
被告Yは,接待されたものであるから,本件飲食代金を負担しない旨主張するが,一般的に,複数の者が共に飲食店等で飲食遊興した場合,各人の飲食等の内容,割合が当初より各人の格別の注文等により判然としており,飲食者においてもそのことを十分に念頭において飲食等をなし,かつそのことが飲食店の営業主も了知していて,飲食の割合に応じて個別に請求することになるような特段の事情がある場合を除いて,営業主としては,その複数の客全員の資力を総合的に考慮して,飲食等のサービスを提供し,一方客の方でも営業主に対する関係では,全員で飲食等の代金を支払い,各人の負担割合については,内部の問題として処理しようと考えて飲食をするのが通常であるので,その場合には,飲食等の代金について,営業主と飲食者の間で,飲食者らが連帯して飲食代金債務を負担するとの黙示の意思表示があったものと推認される。
前提となる事実によれば,本件飲食について,被告らの間で接待者・被接待者の関係にあったとしても,そのことを原告が了知していた事実は認められず,また原告及び被告ら間で本件飲食代金を被告Xのみが負担するとの合意があったとは認められないので,本件飲食を共同した被告ら間で本件飲食代金債務を連帯して支払う旨の黙示の合意があったものと推認され,被告Yは,本件飲食代金債務を連帯して負担するものと解される。
要するに,
「今日は,俺(X )の奢りだから,好きなだけ飲めや~。」は,
XY間での取り決めであって,
飲食店Aの同意がない限り,
XYは飲食代金について連帯して負担しなさい,
ということ。
当たり前と言えば当たり前ですが…
「今日は俺の奢りだぜ」は,
お金を支払うまでは奢りじゃないので,
会計まで,しっかり目を光らせておきましょう(笑)