株式交付制度 その1はこちら
株式交付制度ですが、もっとメジャーになって、広く利用されてもよい制度だと感じています。
その理由としては、一定の要件のもとに、現金を使わず会社を買収できるからです。
司法書士である金子登志雄先生の著書「株式交付活用の手引き」の言葉を引用するなら、
「株式で支払う株式譲受け型企業買収」という言い方ができます。
公開会社のほうが株式交付制度の需要があるのではないか、と言われてますが、
非公開会社(中小企業)でも、次のような使い方が考えられます。
<株主の整理をする>
A株式会社の株主が複数おり、経営に関与していない株主がいる場合
B株式会社を株式交付親会社として、経営に関与していないA株式会社の株主の株式を譲り受けて、
A株式会社の株主を整理する方法
なお、株式交付制度を利用する場合、債権者保護手続きを回避するため、株式交付親会社の株式交付をすることが多いと予想されますが、会計上どうなるのか、も理解しておく必要があります。
この場合には、貸借対照表の株主資本が変動します。
その場合の対価である株式の評価は、支配取得であれば時価、共通支配下関係であれば簿価となります。
また、会社計算規則第39条の2第2項本文は下記の通り定めています。
資本金及び資本剰余金の増加額は、株主資本等変動額の範囲内で、株式交付親会社が株式交付計画の定めに従い定めた額(資本金、資本準備金、その他資本剰余金に振り分けて良い)とし、利益剰余金の額は変動しないものとする。
すなわち、中小企業における株式交付制度では、共通支配下関係にある2社間において、株式交付親会社の株式交付をし、その簿価を資本準備金に計上する(資本金に計上してしまうと資本金の額の変更の登記が必要なため)ことが多いと考えらえます。